外国人労働者の規制

新政権によって任命された人的資源相が、レストランの料理人をマレーシア人に限定すると発言したことが、様々な反応を引起しているようです。結局、この発言は命令ではなく、提案だとトーンダウンしていますが、これに関連する最終的と思われる記事を紹介します。記事原文は下記URLを参照してください。https://www.thestar.com.my/news/nation/2018/06/23/kulasegaran-local-cooks-for-local-food-was-just-a-suggestion/


また関連記事のURLも参考のため添付しておきます。ただし、引用しているのは上記のURLのみです。
http://www.thesundaily.my/news/2018/06/23/kulasegaran-clears-air-banning-foreign-cooks
および
http://www.thesundaily.my/news/2018/06/23/psm-calls-clarity-local-cooks-only-ruling


引用はじめ
レストランに地元の料理人みを雇用するように呼びかけたのは、ただの提案に過ぎないと人的資源相が語りました。


「食品業者に地元民の料理人だけを雇うようにさせることは“合理的”なことだ。最終的には様々な関係者と議論して決める。」と同相は語っています。


6月22日に、同相は「マレーシア料理を出している全てのレストランは1月1日から地元民だけを雇用することが要求される。」と発言し、ソシアルメディアの一部で攻撃対象となっています。


ある食品業経営者協会はこの通知に衝撃を受けたと語っています。


同相は「地元の料理人というのは、通常の地元料理のレストランに適用され、外国料理のレストラン、高級レストラン、特別な料理を出す5スターホテルには適用されない。理屈に合うように考えている。」と語っています。


2016年ホーカー免許規定(連邦領土KL)で、全てのKLのホーカーはマレーシア人でなければならず、マレーシア人以外は雇用してはならないとなっています。


「我々は正しく規定することを望んでいるだけで、同じ規定を全州で行いたいと考えている。全国で一致した運用をしたいと思っている。


外国人労働者の人数を減らす政策が必要だ。2002年から2017年に内務省は外国人労働者の劇的な増加を記録し、1.06百万人から1.8百万人になった。このうち、約25万人がレストランを含むサービス産業に従事していて、2010年から2017年の間に8万人増加している。外国人労働者の依存度を減らしたいと思っている。」と同相は語っています。


引用終わり


マレーシアのGDPの増加策は免税などをインセンティブにして外資を呼び込み、製造工場を建てさせて、雇用を増加させ、不足する人員は外国人労働者を呼び込んで対応するというものでした。


オラン アスリ(もともとの原住民)を含むマレー人はブミプトラ政策で事業免許の取得が容易にできるなどの、様々な恩典を与えられていることから、雇用されて働く意欲に乏しく、与えられた免許を売り払った金で当座をしのぐという生活に慣れてしまっているので、ますます働くインセンティブが働かないという環境にあります。


労働力の不足を補うため、外国人労働者がいなければ、建てた工場の働き手が手当てできないということもあり、外国人労働者は必須でした。外国人労働者が稼いだ賃金は、その余った部分は移転支出という形で国外流出することになりますが、GDP計算上は移転支出はGDPからは減額されること無くマレーシアのGDPには貢献することになります。


この辺の詳しい説明は専門的な部分になるので、省略しますが、ただ移転支出される部分は購買力からは減額されることになるので、乗数効果が働かず、GDPの伸びの限界を形成することになります。


そこで、外国人労働者の数を減らそうとしているわけです。


翻って、日本では今まで規制してきた外国人労働者の規制を緩めようとする動きがあるようですが、当面の企業の人手不足には役に立つかもしれませんが、少し長期的な視点で見れば、日本の将来のためには決してならないと考えられます。

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