権利の上に胡坐を搔くものは保護されない

先人の言葉には時として、はっとする様な重い意味がこめられている、珠玉の名言があります。


今日は「権利の上に胡坐を搔くものは保護されない。」という言葉を紹介します。


これは民法の大家であった、我妻栄先生が、教科書ともなった「民法大意」などで述べられた言葉で、大学時代に民法の講義で聞いたものです。我妻栄先生は私の大学時代はまだご存命でしたが、直接その講義を聴いたことはなく、当時経済学部で民法の講義を担当されていた来栖三郎先生が講義で我妻栄先生の著書を使われたものですが、来栖先生のその独特の講義スタイルは今でも鮮明に覚えています。講義に使われる本を数冊、かばんではなく、紫の風呂敷に包んで持参され、教室に入ってくると、その風呂敷をおもむろに開いて、講義を始められるという印象深い講義スタイルでした。


その意味するところは「理論上、そのものの上に権利があったとしても、その権利の上にふんぞり返っているものは、法は保護しない。」というもので、一般的には消滅時効を説明したものだといわれています。権利者だといって第三者への対抗要件の具備を怠り、長期に渡って権利の行使をしなければ、その権利は法は保護しません。という論拠に根拠を与えた言葉となっています。


7年間以上権利の行使を実行していない銀行口座は休眠口座として国の管理する口座に移管されるというマレーシアの制度は以前からありますが、この制度自体は消滅時効を定めたものではなく、単に銀行の事務の効率を優先させた制度で、権利者が異議を申し立てれば、その権利は復活するので、これは消滅時効の定めというよりも、銀行事務の効率化を狙ったものだと解釈されます。従って、そんなに神経質に考える必要もないことですが、権利の主張のためには、それを立証する書類の準備も大変なので、そうならないように注意を払っておくことも必要だとは思います。



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