マレーシアに格付け引き下げの可能性

マレーシアの信用リスクの指標となる格付けの引き下げの可能性があることについて、マハティール首相が記者会見で語っていますので紹介します。記事原文は次のURLを参照してください。https://www.thesundaily.my/local/pm-questions-potential-rating-downgrade-MK804482


格付けが低下すると、国債の発行金利が上がり、資金調達が難しくなり、金融面で大きな影響が出てきます。ちなみに現在のS&Pによるマレーシアの長期債の自国通貨建ての格付けはA(安定的)で最高ランクから3番目となっています。最高ランクはAAA、で日本はA+となっています。最高ランクのAAAはオーストラリア、オランダ、カナダ、シンガポール スイスなど11カ国が取得しています。


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“首相が起こり得る格付け低下に問題提起”


連邦領土開発局(FELDA)と巡礼預金(TB)の救済に従い、格付け機関が国の信用格付けを引き下げる可能性に、マハティール首相は頭を悩ませています。


記者会見で首相は次のように語っています。「格付け機関は会社を救済するために60億リンギを支出することは間違っており、格付けを引き下げるかもしれないといっているが、マレーシアが1兆リンギの債務を負ったときには格付けの引き下げの話は出なかった。


政府は東海岸鉄道(ECRL)、FELDA、TH、最近のバンダル マレーシアに関する問題を解決し、多額の金を節約した。


格付け機関は独自の方法と基準を持っていると思うが、実際のところ、以前の政権が前の予算で赤字の原因を作ったが、格付けは据え置いてきた。


今、我々が問題解決に動くと、それは間違っていると彼らは言う。」


格付け機関のムーディーズは「政府の借金はA格の政府債務の中央値をを超えている。さらに、FELDAへの62.3億リンギの救済金は国の格付けにはマイナスになる。」という見解を発表しています。


一方、世界的な指標提供機関のFTSE ラッセルは、市場の流通をみて、マレーシアのFTSE世界的国債指標を下げる検討に入っています。


ECRLについて、マハティール首相は更に語っています。「プロジェクトの再協議で、殆どの投資は回収できるか、または投資問題の殆どは解決できる。更にコストを下げ、進めていく中でコストを減らす他の道を見据えている。


高速鉄道(HSR)については、マレーシアとシンガポールの両国はプロジェクトの延期で合意し、契約はまだどことも締結していない。2年間の猶予期間がある。再調整し、高価過ぎないHSRの新しい道にたどり着けば、そのときに契約を結ぶことになる。」


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格付け機関はその時点でのバランスシートをみて、判断し、所謂バランスシートに載っていない偶発債務は考慮しないので、例えば、危ないプロジェクトや会社があっても、実際に救済して、バランスシートに載った時点で、判断することになるということになるのでしょうか。そういう手法しか取れないことに対してマハティール首相は直面していて、いろいろ言っているのだと思います。


問題山積のマレーシアですが、前政権が如何にひどかったのかが再認識させられます。あのまま行っていたら、遠からず第二のギリシャになっていたでしょう。

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