ECRL問題をロイターが配信

マレーシアで中断している東海岸鉄道(ECRL)について、ロイターが配信している記事を紹介します。


日本ではあたかもECRLの中止が決定しているかのような報道がされていますが、これは全くの誤報であることが分かると思います。


しかし、ロイターの配信を受けて報じているのが中国が背後にいるスター紙なので、信頼性はいまひとつですが。記事の原文は下記URLを参照してください。
https://www.thestar.com.my/news/nation/2019/01/31/china-offered-heavy-discount-on-ecrl-but-then-came-the-contradictory-remarks-by-our-ministers/#Zu4WoqX6DQYu2ZCa.99


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中国がECRLの大幅な値引きを提案したが、内閣は受け入れていない


2ヶ所の消息筋によると、中国は、東南アジアにおける一帯一路政策の中心となるこのプロジェクトを救うため200億USD(810億リンギ)の約半値の値引きを提案したが、マレーシア側は受け入れておらず、結果は未確定のままです。


この一週間で、ECRLに付いて、相反する声明が出されたということは、契約の再交渉でのマハティール首相の内閣が直面する政治的、外交的な挑戦を浮き上がらせています。


話し合いについて熟知している消息筋の一つは、繊細な案件である性質上、匿名を条件で語っています。「コストに付いては、中国は半値を提案した。契約者の中国情報建設会社(CCC)は688kmの鉄道建設費670億リンギを半値にする提案をしている。利息費用と用地取得費は全費用の残りになる。値引き提案に対して、今月、内閣はキャンセルを決断した。」


しかし、1月30日に財務相は「マレーシアは中国と更に話し合いを行っている。」と語っています。このニュースは他の内閣の一員が「内閣は契約のキャンセルを決めた。」という発言があり、翌日マハティール首相の「契約キャンセルに付いて中国が理解するように求める。」という発言後に伝えられたものです。


去年の7月の工事中断以来、中国の東南アジア最大の挑戦である一帯一路について、より安い提案を求めて、マレーシアと交渉が続けられてきました。


さらに消息筋は語ります。「しかし、マレーシアの当事者が多すぎて、交渉は複雑化しています。財務相は別にして、CCCとマレーシア側の当事者であるマレーシア鉄道(MRL)は、他の政府職員の中でも、マハティールの長年のアドバイザーであるトゥン ザイム ザイヌーディンにも提案をしなければなりませんでした。それぞれがプロジェクトに対して、様々な見方と問題意識を持っており、特殊な状況でした。」


トゥン ザイム ザイヌーディンは今は解散しているが、マハティールが首相になってから作られた”賢人会議”を率いていました。


北京の外務省広報官は詳しくは説明せず、「今週、キャンセルの報告を見たが、具体的には分からない。知っている限りでは、プロジェクトは、対等、相互利益、合意形成に基づく市場原則に従って両サイドの会社が合意したものだ。」と語っています。


1月29日に、マレーシアの内閣はこのプロジェクトに関する発言はマハティール首相を除いては行わないといっています。


マハティールが率いる、ありえない枠組みで、60年にわたり、政権を取ってきたナジブの国民戦線に、総選挙で勝利して以来、中国との関係は悪くなっています。


アジア ボワー グループのアディブ ザルカピルは「連邦政府の経験で経験を殆ど積んでいない、多様化している連合政権にとって、簡単な仕事ではない。新マレーシアでの外交政策では、それぞれの党が違った考えを持っている。」と語っています。


鉄道プロジェクトは、巨大金融スキャンダルの中での選挙での敗北で終了した、10年にわたるナジブ政権下での中国からの投資促進のもとで、2017年に開始されたものです。


膨れ上がるコスト、透明性の欠如、マレーシアにのしかかる巨大債務問題で、プロジェクトはナジブのスキャンダルにまみれた政府を象徴してきました。当時はマハティールを含めた野党はナジブがマレーシアの主権を中国に渡すものだと批判していました。
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契約をキャンセルするというのは、並み大抵のことではできないと思います。逸失利益の補償問題をどのように解決できるかという問題は相当な交渉力が求められます。


それにしても、ナジブは誰もメリットがない鉄道建設を巨額の債務を負ってまでよくやろうと思ったものだと思います。相当な見返りの提供が中国からあったと推測せざるを得ません。

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