金利について考える

今回は金利について考えてみたいと思います。


銀行が適用する金利レートは概ね、通貨ごとに異なる水準が設定されていますが、日本の場合はかなり特殊であることを、遅まきながら気付きました。


日本ではUSドルに適用される預金金利は、日本円の金利に連動しているためか、世界市場では米国の政策金利が2.5%なのに、限りなくゼロに近いレートが適用されているケースもあります。(一部の銀行では0.35%をつけている銀行も有るようですが)


日本の銀行が適用する金利は銀行によって、差があるのは自由主義経済である以上自然な現象ですが、限りなくゼロに近いレートで預金者から集めたUSドルを世界市場では実勢レート(概ね2.4%)で運用しているのですから銀行にとってはぼろ儲けになっているはずです。


それならば、USドルを日本で預金せずに国外に持ち出して運用したほうが有利であることは明らかです。カントリーリスクがないところで、ドル預金しておくべきだということになります。


話は変わりますが、嘗て、現役時代にある海外でのプロジェクトを請負、プロジェクトオーナーに対する長期の延払い債権を見合いとして、米ドルを日本の銀行の協調融資で借りて、売掛金の回収ごとに日本の銀行に返済するというスキームを構築したことがありました。


銀行団の貸付レートは、当時の世界市場の長期金利が適用され、具体的なレートは覚えていませんが、日本円の金利はその当時でもかなり低い水準にありました。そこで、ドル借り入れを日本円借り入れに変更し、金利を節約しようとしたのです。しかし、そうすると、為替リスク(米ドルの円に対する下落リスク)が発生することになります。債権を回収したときに、米ドルが下落していると、回収した米ドルを日本円に変換したときに為替ロスが出てしまいます。(逆に米ドルの日本円に対して上昇していれば、利益にはなります。)


為替リスクが出ないようにスクエアーにしておくことが会社の大方針であり、どうなるか分からないリスクを負うのは博打と同じで、会社が最も嫌うところです。それでもやる場合には、為替の売買越しを申請して、特別の許可を取る必要があります。財務本部では全社の為替リスクを集計して、全社として為替リスクをスクエアーになるように、調整していました。


会社は事業会社であり、利益の源泉は事業であり、博打によってはいけないという信念が貫かれていました。


為替と金利は互いに関連する、将来の利益に結びついた要因です。金利がいいからといって、金利を稼ぐためにリンギで運用するようなことはすべきではないと自分を戒めています。

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