マレーシアの不動産市況

不動産市況は、経済状況を占うための重要なデータの一つです。今年前半のマレーシアの不動産市況についての発表が、財務省からありましたので、その概要を紹介します。記事の原文は次のURLを参照してください。https://www.thesundaily.my/local/condo-apartment-units-below-rm300-000-dominate-property-overhang-list-IK1396486


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“30万リンギ以下のコンド、アパートが不動産の出っ張りリストの多数を占めている”


価格帯が20万から30万リンギのコンド、アパートが、マレーシアの不動産出っ張りリストの主要部分を占めており、プラ州、クダ州が占める割合が大きい。


財務省副大臣は、今年前半の不動産市場の動向発表の会見で次のように語っています。


「マレーシアの不動産出っ張りリストの43%がコンドやアパートであり、その主要なのは買い易い価格帯です。不動産の出っ張り指標は、住宅の供給が需要と一致していることを保証するために重要で、そこではミスマッチ問題の極小化が計られます。


だから、開発業者とプロジェクト開発と売却価格を容認した当局が、出っ張りデータに注意を払うようにして欲しいのです。


不動産の出っ張りは売れ残り在庫と混同してはいけません。政府は不動産が完成し、居住証、または仮認可証が出ているが、少なくとも市場に出して9ヶ月間売れていないものを、出っ張りであると定義しています。


住宅タイプ、ロケーション、価格帯で購入者の需要に応じた住宅を建てることを、我々は開発業者に求めています。


今年の前半で、23,591の新しい住宅が着工されましたが、昨年同時期と比較して49.4%低くなっています。


プラ州では最も高い4,557が着工されて、全国の殆ど20%を占めています。続いてジョホール4,233、ペナン3,216、KL2,565、スランゴール2,387と続きます。


出っ張りは、住宅セクターが32,810で、197億6千万リンギ、店舗セクターが5,760で、49億8千万リンギとなっています。


政府の主に目指すところは、更なる買い易い住宅の必要性に対応し、不動産の出っ張りの正しい解決策を見出すことです。


政府は国家住宅政策2.0を開始し、2019年住宅取得キャンペーンで、インセンティブを導入することに向けて、進めて行きます。国内の不動産情報をユーザーが入手するための、評価と不動産サービス局の’マレーシア売れ残り不動産質問システム(UPESM)を始めます。」


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不動産の出っ張りと売れ残り不動産とは異なるという説明がされていますが、どのように違うのか、イメージがわきにくいのですが、”違う”ということなので、敢えて”出っ張り”としておきました。売れ残りのほうが広い概念のようです。


資本主義の弱点といわれるのが、計画経済と違って、景気循環があることで、通常の景気循環であれば、不況の次には好況が来るのですが、恐ろしいのは恐慌です。


恐慌という事態になれば、循環は期待できず、全く希望が失われた状態になります。恐慌を防ぐため、様々な政策手段が取られるようになって、何とか恐慌が防止されてきています。


過去の恐慌で最大といわれるのは、株式市場の暴落に端を発する1929年のアメリカの大恐慌でした。大恐慌の原因については様々な研究がされていますが、株式市場の暴落は突然でしたが、それに至る原因は住宅市場の暴落にあったといわれています。


この件を語りだすと大変な作業になるので、今回はここでやめますが、いずれ稿を改めて発表できる機会があればと思っています。

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