エアバスとエアアジア間の賄賂

エアアジアとエアバスとの間での、賄賂の収受につき、MACC(マレーシア対汚職委員会)が調査に入っているという記事を紹介します。記事原文は次のURLを参照してください。
https://www.thesundaily.my/local/macc-probes-airasia-over-alleged-bribes-from-airbus-FH1955755



Quote


“MACCはエアアジアがエアバスから賄賂を受け取ったことを証明”


MACCはエアバスとエアアジアの2人の役員を巻き込んだ賄賂の疑いで調査を開始しました。


MACCによると、委員会はすでに英国当局と連絡を取っているとのことです。


「MACC法の下で、我々はマレーシア人またはPR(永住権)保有者のマレーシア国外のいかなる場所での汚職行為についても調査する法的権限を与えられている。エアバスとエアアジアの露見のケースでは、我々は英国当局と接触し、既にこの件の調査に入っていることを確認している。」とMACCは声明文を発表しています。


1月末のレポートでは、エアバスは名前不詳の2人のエアアジアの意思決定権者にスポーツチームのスポンサーとして、204百万リンギを支払いさらに225百万リンギの提供の申し出があったとされています。


Unquote


賄賂が問題化されたのは、2000年の初めのころ、米国を中心とする勢力が、公共工事の受注のため賄賂が横行していて、公正な競争が害されていると主張がされ、OECDが中心となって、賄賂を撲滅するための指針ができたころです。


賄賂の贈り先の定義として、政府または政府が意思決定権を持っている先とされていました。つまり民間会社およびその職員に対して賄賂を贈っても、賄賂とはみなされないということになります。また当時GEのCEOだったJ.ウエルチから、賄賂を贈る会社とは今後一切取引しないという発言から、会社としても賄賂についてかなり神経質になっていました。そこで、全社を挙げて賄賂撲滅に向けて運動が始まりました。


現場では、東南アジアでは賄賂なくして、商売はできないという声も実際にあったことは否定しませんが、それでも賄賂が発覚した時の逸失利益の方が大きいという認識が強くなり、、賄賂なしで商売ができないならば、そんな商売は止めてしまえということになり、それからは賄賂は恥ずべき行為だという認識が共通認識になってきたと思います。


さて、今般のケースですが、エアアジアは民間企業であり、政府または政府系の会社ではありません。今回のケースが賄賂になるのかどうかは議論のあるところです。エアアジアの株主が背任罪(わいろを収受し、会社に不利な意思決定を行った)で告訴する余地はあると思いますが、MACCの出る幕はないのではないかと思います。ちょっとやりすぎのような気がします。

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