観光税に屋上屋を重ねる滞在税

昨日取り上げた、ジョホールでの滞在税構想についての連邦政府の反応を紹介します。記事の原文は次のURLを参照してください。
https://www.thestar.com.my/news/nation/2019/11/26/bed-tax-mohamaddin-says-no-and-puts-matter-to-rest#l3TiUe2ChquPe8ll.99


Quote


ジョホールの滞在税についての、議会における観光、芸術、文化相の発言は、議員たちに波紋を広げました。


「ジョホール当局の提案に困惑している。ジョホールでは誰も助言しなかったのだろうか?連邦政府は観光税をすでに課している。寝耳に水の話だ。滞在することで観光客に税を課すということに、少し困惑している。観光税には滞在が含まれており、なぜ滞在にさらに税をかけるのか?支払えなければ橋の下で寝ろというのか?ジョホールの観光担当の代表者を呼び、この件で話し合いたいと思う。」と同相は語りましたが、ジョホール州政府は州内のホテルに滞在する外国の観光客に滞在税を導入する計画はないという情報もあります。


これに対し、同相は滞在税をすでに導入している担当者にも聞いてみると語っています。


これまでのところ、ペナン、マラッカが観光客に滞在税をかけており、パハン州では来年に導入を予定しています。


Unquote


屋上屋を重ねる税金というと、日本の自動車にかかわる、自動車保有税と重量税が思い浮かびます。観光税と滞在税もこれと同じような感覚を受けます。


そもそも、観光税というのはどのような意味付けがなされているかと考えると、観光客は基本的には税金を払わずに、その国で治められた税金を原資として建設された施設の恩恵を受けているので、その対価だと考えれば観光税を支払うことは納得できます。観光税から免れる長期滞在者の場合は、長期滞在のビザ料金が施設利用の対価だと考えることもできます。


インフラは誰かの負担で建設されたものなので、その負担に対して支払うことは、インフラ利用者の義務なので、その負担の程度は別にして、観光税、ビザ料金を負担することには合理性があると考えられます。しかし屋上屋を重ねる税制は問題があると言わざるを得ません。

ジョホールで新たに滞在税の導入を検討中

ジョホール州で、既に連邦政府が課している外人に対する観光税とは別に、滞在税を課すことを検討中だという話を紹介します。記事の原文は次のURLを参照してください。
https://www.thesundaily.my/local/johor-mulling-bed-tax-on-tourists-DX1653621



Quote


“ジョホールは観光客に滞在税を検討中”


ジョホール州政府は州内のホテルに滞在する観光客に滞在税を課すことを検討中です。


ジョホール州議会で、ジョホールへの観光客の増加のため、ジョホールに還元される観光税の昨年からの使い道について質問を受けた際に、州の観光、女性、家族、社会開発委員会議長は、「観光税は観光税法に基づき、ホテルに滞在する外人に10リンギを徴収するもので、2018年にジョホールは15.8百万リンギを集め、サバ、ペナン、スランゴールに次いで4番目の高さだった。その50%が州に還元されます。ジョホールは7.99百万リンギを受け取っています。


ジョホールは現在、滞在税を検討中で、その実施メカニズムと料率を決定しているところです。その料率自体はあまり高くはならない。」と語っています。


Unquote


観光税と同じ人を対象に滞在税を導入しようと考えているようです。よほど財源不足なのか、観光客誘致に逆行する動きのようにも思われますが、それをはねのけるに十分な観光客のジョーホール滞在需要があると踏んでいるということでしょうか。

ジョホールの不動産の外人による取得問題

マレーシアにおける、外人の住宅取得価格と課金について、ジョホールの現状を紹介します。記事の原文は次のURLを参照してください。https://www.thesundaily.my/local/locals-unaffected-by-lower-threshold-for-foreigners-to-buy-properties-in-johor-says-exco-NB1650069



Quote
ジョホール州議会で、州知事が外人の住宅取得価格を下げることを発表したことに対してその影響を質問され、州の住宅通信マルティメディア相が次のように回答しています。


「外人は区分所有権付きの完成された不動産のみを購入することができ、9か月以上にわたり、すでに完了証明と順法証書(CCC)を発行してきた。建設段階で開発業者が販売してもCCCが期限切れになることもありうることで、すなわち開発業者が長期にわたって販売しているのに、地元民からの需要がなく、したがって競争は発生しません。」


最初の野党による質問は、特にジョホールバルの売れ残り不動産を減らす方策についてでしたが、同相は「外人の取得価格の引き下げは新しい二つの政策のうちの一つではあるが、
これは、2020年1月1日から9月30日までに限定したもので、その後は百万リンギに戻る。他の手段は外人に課している課金で、取引価格の2%か2万リンギのうちどちらか高い方となっているのを、5%か3万リンギのどちらか高い方に引き上げます。」と説明しています。
Unquote



外人に買ってほしいのは、売れ残った不動産で、地元民と競合して、不動産価格が上がることは避けたいという思惑が見て取れます。
外人とローカルの競争回避を図りつつ、売れ残りの解消のための規制価格の引き下げと、課金の引き上げという、相反する動きを取らざるを得ないことで、その苦境が窺われます。

西武がTRXに出店

マレーシアにある“そごう”はKLのTAR(トゥンク アブドラ ラーマン)通りにあり、日本のそごう西武とは資本関係はなく、名義使用料を日本のそごう西武に支払っているだけの関係ですが、2021年後半に、金融センターとして開発中のTRX(トゥン ラザック エクスチェンジ)ビルに西武百貨店を出店すると発表しました。


日本のそごう西武は、現在、セブン アンド アイの傘下にあり、そごう、西武ともそれぞれそごう、西武の名前で商売を続けていて、以前の特徴をそれぞれ引き継いでいます。


有楽町にあったそごうは既に閉店し、東京近辺にあるのは大宮、横浜、ぐらいでしょうか。横浜のそごうは、横浜駅から地下道経由で行ける地の利があり、日本にいるときはよく行きますが、デパ地下は結構にぎわっています。横浜駅から地下道経由で行ける地の利があります。


西武の方は、ポロなどのファッションブランドのイメージが強い百貨店でしたが、百貨店という業種自体が時代に合わなくなっており、そごうとの合併で事業を継続するしかなかったという経緯をたどっています。


百貨店業界では、嘗てはライバルだった三越と伊勢丹が合併し、三越伊勢丹として、事業を続けています。新宿通りをはさんで、新宿三丁目の角に伊勢丹、そのはす向かいに三越があり、伊勢丹のメイン銀行が嘗ての三菱銀行、三越のメイン銀行が嘗ての三井銀行でしたが、伊勢丹の隣に三井銀行があり、三越の隣に三菱銀行があって、たすきがけとなる位置関係で、はたから見ると面白い位置関係でした。しかし、三越新宿店は今はもうありません。


「よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しく留まりたるためしなし。あるは大家滅びて、小家となる。云々」


横道に外れましたが、KLのそごうはイメージとして先端を走るブランド店というイメージから遠く、そのため西武という名称を使うことにしたのでしょう。


TRXに出店する西武は、売り場面積23,793平米で、世界の有名ブランドを中心に400から500ブランドを誘致するということです。そのうち100ブランドはマレーシア初上陸となるようです。


西武の海外展開としては嘗てジャカルタで営業していましたが、閉店し、パサラヤという百貨店に変わっています。

資源ごみ

マレーシアでもごみのリサイクルへの取り組みが始められつつあり、そのニュースを紹介します。記事の原文は次のURLを参照してください。https://www.thesundaily.my/local/trashtocash-programme-changes-public-perception-of-waste-IK1639947


Quote


住宅及び地方自治省が推進するエコ社会政策である“資源ごみを現金に”のキャンペーンは、人々のごみに対する認識を変えることに成功しています。


クアラ トレンガヌで実施されたキャンペーンのあと、同省の副大臣は語っています。「キャンペーンの結果、ごみはリサイクルに回され、収入となり、間接的に周りがきれいになった。キャンペーンはごみを賢く管理し、リサイクルされ、現金に変わることを人々に教え、推進することを目的にしている。さらに人々が収入源としてリサイクルを実行することに戸惑いの感情を持たないように人々の感覚を変えることを目的にしている。」


300人以上がキャンペーンに参加し、1時間以内に250Kを超える資源ごみを集めました。資源ごみの値段はモノによって異なります。箱はキロ0.19リンギ、古新聞は0.2リンギ、アルミ缶は2リンギ、プラスティックは0.6リンギです。


キャンペーンのコーディネーターは語っています。「ペナン、ジョホールバルでも今月初めにこのキャンペーンを実施しており、当地は3番目になります。それぞれの地域で集められた資源ごみに、400から500リンギ支払っています。反応はとてもいいです。例えば今日は、当地でごみの管理意識を高めるために、キャンペーンを続けていく10人のコーディネーターを指名しました。」当地の後、キャンペーンはあと3つの地域で実施されます。スランゴール州アンパンのタマン コサ、プラ州のクアラ カンサー、サバ州プタンタンのPPRタマン スリ プタンタンです。


Unquote


資源ごみの回収キャンペーンがマレーシアでも実施されつつあるというニュースですが、資源ごみが金になるということです。


日本では今はもう見かけなくなったくずやという商売があって、リヤカーを引いて町中の資源ごみを回収に回っている人がいました。それが形を変え、チリ紙交換屋という商売になりましたが、今はもうそれも見かけなくなりました。労力の割には見返りが少ないということなのかもしれません。今はごみの分別問題とも絡んでくるのですが、資源ごみとして、決まった曜日にごみとして無償で出すというのが定着しているようです。ごみを分別するという、ごみを出す人の犠牲の上に、資源ごみの回収が成り立っています。