EPFが高配当を発表

マレーシアには会社に勤めている間に、会社と従業員が同額を本人のために積み立て、それを退職時に受け取る“従業員積み立て基金(EPF)”という法定の制度があります。日本の厚生年金とは異なり、定額を受け取るのではなく、積み立てた分を、原則として一括して、定年時に受け取る制度です。


受取額には積み立てた期間の配当が上積みされていく制度で、年々の配当額の多寡によって受取額が変動するので、配当額は、EPF加入者の重大な関心事です。2018年の配当額について、ここ20年間で最も高い、6.9%という配当率が発表され、報道されました。その概略を紹介します。原文は下記URLを参照してください。
https://www.thestar.com.my/news/nation/2018/02/11/highest-epf-dividend-in-two-decades-big-payout-for-members-due-to-superb-2017-performance-says-epf-c/


引用はじめ
従業員積み立て基金(EPF)の通常預金について、ここ20年で最も高い6.9%とすることが発表されました。680万人と推計される実際の加入者にとっては、この率は1999年の6.84%に近い率であり、疑いもなく朗報です。


EPF会長の声明です。「2017年の運用実績に全体として満足している。2017年は2種類の制度を運用し、それぞれの配当率を発表した記念すべき年でもある。


イスラム預金の配当率は6.4%になる。イスラム預金は初めての力強い結果となった。


普通預金の払い戻しは440億リンギで、イスラム預金のそれは39億8千万リンギでした。2016年に比べて、払い戻し額は約30%増加しています。マレーシアのインフレ率と比較してこの配当率を見れば、退職基金としてのEPFは、メンバーの預金を増やす努力をしていることが分かる。


2017年はインフレ率3.79%に対して、普通預金の配当率は3.11%、イスラム預金のそれは2.61%でした。過去3年を見ると、我々の戦略的な実質配当目標である2%を超えて、3年間の実質配当率はそれぞれ3.67%と3.51%でした。短期的には普通預金とイスラム預金には偏差が存在しています。しかし、長期的に見れば、どちらも同じ投資対象と戦略を共有しており、同じような配当になると予測しています。


それぞれの配当の支払いは、その年の総実現利益の合計から、金融資産のネットの損失、為替とデリバティブの未実現損失、投資支出、管理費、法定費用、払い戻し配当を差し引いたものです。


2017年の総投資収入は約530億リンギで1951年にEPFを設立して以来最高になりました。イスラム預金のそれはイスラム預金の全資産に比例して46億リンギでしたが、普通預金のそれは485億4千万リンギでした。普通預金の配当は非イスラム投資の世界的銀行株の投資の好調からもたらされたもので、イスラム預金は宗教上銀行株を運用していません。加えて、イスラム法に則った株式、特にオイル、ガス、通信はEPFのイスラム ポートフォリオの収入を低下させました。


昨年の12月末現在、メンバーの預金総額は7,685億千万リンギで、7,007億5千万リンギが普通預金、677億6千万リンギがイスラム預金となっています。


長期的に一定の持続可能な配当を産み出していく必要があり、EPFのような大きなファンドを運用していくのは挑戦です。海外の資産価値の増加は、異なる市場と資産からの大きな収益を実現するのを助けてくれるので、それが海外の市場に出て多角化する理由の一部であり、それが全体の結果に貢献しています。


2016年の総投資収入は465億6千リンギでしたが、2017年は531億4千リンギで14.13%増加しました。2007年以来、金額は毎年11.9%増加しており、総投資収益の7.3%に相当します。」
引用終わり


2017年はトランプ効果による世界的な株高で、金融資産を運用しているところは、相当の利益を上げたものと思われます。今年2月になって、7,8%株が下がったと言っても、全体としてみれば、小さな調整にしか過ぎない可能性が高いと思われます。EPFの高配当率の発表はこれに沿った動きでしょう。

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