低放射能鉄

第二次世界大戦時に、マレー半島沖、ボルネオ沖で沈没した艦船から鉄を回収する違法行為が行われているというニュースを紹介します。原文は下記URLを参照してください。
https://www.thestar.com.my/news/nation/2018/02/27/scouring-the-deep-for-old-steel-exclusive-msian-firms-and-china-syndicate-plunder-ww2era-wrecks/


引用はじめ
マレーシアのサルベージ会社の中には、高度の医療、科学機器に使用される希少、かつ低放射能の鉄を求めて、戦時中に沈没した艦船を略奪する国際的シンジケートと組んでいる会社もあります。


最近オーストラリアの海洋考古学オーストラリア研究所で、シンジケートが東南アジア、主にマレーシアとインドネシア周辺で48の艦船を略奪したことも含め、証拠が明らかになりました。


シンジケートはグラブ浚渫船、クレーン船を使って海底から沈船の一部を引き上げていると、消息筋は話しています。


「マレーシアでは不法サルベージで既に19の沈船が略奪され、それは主に第二次世界大戦時に沈んだ艦船です。


シンジケートは海洋当局を避けるのに熟練している。彼らは毎日数時間作業し、海洋当局が捜査したり艦船を差し押さえる権限のない公海に戻ります。海岸に誰もいなくなったらサルベージ作業を再開します。」と消息筋は語っています。


海洋局の広報は「我々はシンジケートの行為は知っておりマレーシア海域での沈船周辺の監視を強化しています。この不法行為を止めるため、海上保安庁と緊密に協働しています。犯人が一旦公海に出てしまうと、我々には全く権限がありません。」と語っています。


これは、中国での低放射能の鉄への大きな需要と魅力的な支払いによって引起されています。


「ここ2年で鉄探しは強まってきました。トップグレードで敏感な医療および科学機器を作るために使われる鉄が中国で非常に求められています。シンジケートは強い需要に対応して東南アジアでのオペレーションを強めています。」と消息筋は語ります。


地元のシンジケートの手先は中国によって設立され、船と必要な人員とともに、地元のサルベージ会社を雇い、供給しています。


以下消息筋の話です。
「船は深海から鉄を引き上げるための強力な磁石を積んでいます。クレーンが錆びた沈船から鉄を引き上げるため磁石を下に下げ、それで容易に外すことができます。8時間から10時間で船は鉄で一杯になります。そして、彼らは戦利品を当座の廃品置き場で選り分けるため、スランゴールとプラックの海岸にある私有の波止場に戻ります。当座の廃品置き場は作業場でもあり、大きなものは細分されます。整理された鉄は正式な廃品置き場に持って行かれ、そこで包装されるかコンパクトにされ、中国に送られます。そこで再び使うため、溶解されます。


インドネシアでは私有の波止場や廃品置き場を中国のシンジケートが持っているものもあります。引き上げられた鉄は鉄の市場価値の3から5倍で販売されます。現在の鉄の価格はトン当たり約300リンギです。


このオペレーションに使用される船舶、クレーンなどは異なる所有社名で登録されていますが、全て中国を根城とする一つの会社に結びついています。少なくともこれらの船の8隻はマレーシア-インドネシア海域にあると推定されますが、いつでも一箇所にいるわけではありません。


ほとんどが中国国籍の人間が船長を勤めていますが、外人の乗組員が10名ほどいて、マラッカ海峡、ジャワ、スンダ海に広がっています。時には数週間、船は引き上げ品を積まずに航海して給油と補給のため港に入ってきて、再び出て行きます。」
引用終わり


Low-background steel(低放射能鉄)という概念は恥ずかしながら、初めて知りました。核爆弾が使用される1945年までに作られた鉄は大きな放射能を浴びていないことから、高度の医療機器や科学機器には欠かせないもののようです。


低放射能という意味は、自然界には低レベルの放射能は常に存在していますが、核爆発では莫大な放射能が発生するため、金属の属性が変化しているということになるでしょうか。


それと中国の台頭がますます顕著になってきたことが実感されます。世界の資源を買いあさり、公海での傍若無人な行為は許しがたいものがありますが、これが時代の流れというものでしょうか。


米国に沈められた日本の艦船の所有権は誰が持っているのかという疑問も出てきます。世の中、分からないことだらけです。

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