マレーシアの国際刑事裁判所から脱退の訳

マレーシアは今年の3月に批准した国際刑事裁判所から脱退すると発表しました。この背景はマレー人優先という人種差別がある現状や、絶対的な優位性を持っているスルタンの立場が蔑ろにされる可能性、イスラム教絶対制があり、国際刑事裁判所に反対する勢力の存在によるもののようです。記事の原文は下記URLを参照してください。
https://www.thesundaily.my/local/malaysia-to-withdraw-from-rome-statute-AY760543


Quote


“マレーシアはローマ法による国際刑事裁判所から脱退”


マハティール首相は、ローマ法は国に有害なものではないと強調しつつも、政治的に、また社会で発生する混乱から、国際刑事裁判所(ICC)から脱退すると発表しました。会見で同首相は次のように語っています。


「マレーシアは今年3月4日にローマ法を批准しましたが、国連事務総長に託した批准書では今年6月までに脱退できるとされています。脱退の決定は閣議全体で決定したものです。」


国際刑事裁判所(ICC)は2002年に設立され、ローマ法に準拠しています。これは恒久的な条約による国際刑事裁判所で、国際社会にとっての最も深刻な関心事である犯罪、すなわち、大量虐殺、戦争犯罪、人道に対する罪、侵略に対する罪の加害者が咎められないことに終止符を打つことを目的としています。


Unquote


国際刑事裁判所(ICC)が裁くことが出来る対象は個人であって、団体や国家は対象ではなく、国際司法裁判所(ICJ)が国家間の紛争を取り扱うのとは全く異なります。


上に記載したとおり、マレーシアの犯すべからず神聖な領域(マレー人の優位性、スルタンの絶対性、イスラム教の絶対性)に踏み込む恐れがあるので、やはりICCに留まることは無理があると判断されたのだと思います。


ICCに批准していない主な国として、米国、中国、ロシア、インドなどの大国があります。なお、日本は2007年に批准しています。

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