マレーシア国王の発言

マレーシアの国王は、日本の天皇陛下と同様、内閣の助言と承認によって憲法に定められた国事行為をなす権限を有し、国政に関する権能は有しない旨が憲法により定められていますが、時々国政に関わる発言をするケースが見受けられます。国王の最近の発言を紹介します。記事の原文は次のURLを参照してください。https://www.thesundaily.my/local/stop-illegal-land-encroachment-near-sungai-ichat-agong-FE1350034


Quote


“国王:イチャット川近くの国土の不法な開発を止めよ”


国王はキャメロンハイランド北部のクアラ テルラのイチャット川近くの不法な開発現場を訪れた際に、環境に対する関心を示されました。


国王就任以来始めてとなるキャメロンハイランドへの訪問で、国王はとりわけ、ウル テルノム地区のイチャット ダムの取水ポイント近くのクアラ テルラ取水地域への不法な開発を即座に止めるように次のように呼びかけました。


「土地開発は、テルラ川は別にして、クアラ テルラ水処理プラントの2つの水源の一つであるイチャット川の汚染の原因となっている。環境に影響するだけでなく、人々の健康へのリスクにもなっている。


イチャット川はこの地域の重要な水源だ。もし川が汚染されたら、この地域には他に利用できる水源はない。


今、川の水質は悪くなっており、州政府は浄化作業をしている。不法開発の関係者は、その活動は非常に悪い影響があるので、即座に開発をストップして欲しい。


すべての人は政治的信念を横において、キャメロンハイランド、特にイチャット川の不法開発を抑制する努力の成功を確実にするためにお互いに協力しなければならない。


パハン州政府はこの件を申告に捉えている。従って不法農場を取り壊し、開発された土地を元に戻す活動を強化している。連邦政府はこの動きを見守り、支持している。


法廷にも持ち込まれてきたが、不法開発を抑制する継続的な努力がぐずぐずしているように見られないように、法廷が迅速に処理することを望んでいる。」


4月11日に州政府は、4月3日にキャメロンハイランドの23の農家による提訴に対して取り締まり活動の仮休止を容認したクアンタン高裁の判決に対して控訴しました。


一方国王は、キャメロンハイランドの農民が土地の利用を極小化しながらも高収入を生むことができる近代的農業に挑戦して欲しいとも述べています。


「しかし、そうすることで農民は手続きに従い、全ての条件を遵守しなければならない。」と国王は付け加えています。


Unquote


国王の発言内容それ自体に問題があるわけではありませんが、発言自体が国政に関わることでもあり、また裁判についての言及も立憲君主制のもとでの国王としての立場を考えれば、どうなんだろうかと感じざるを得ませんが、所詮は人の国のこと、これ以上は控えておきます。


キャメロンハイランドの農地開発は、その気候が農業に適しているためか、山の切り崩しによる農地化で、水質汚染の問題だけでなく、土砂崩れが発生したりして、かなり前から問題が指摘されてきました。


また、タナラタからブリンチャンに抜けるキャメロンハイランドのメイン道路は慢性渋滞で、特にスクール ホリディになると車が全く動かなくなっているようで、これを知っているマレーシア人はキャメロンハイランドを敬遠するようになっているようです。

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