高速道路民営化案に思うこと

マレーシアの主要高速道路の南北自動車道を運営しているPLUSは政府の資産管理会社であるカザナ社と従業員準備基金(EPF)が株主となっており、実質的には政府の100%管理下にあります。このPLUSを民営化し株式を売却するという案が検討されています。民営化によって政府には売却資金が得られる一方、利用者には営利企業によって運営されると、利用料金が値上げされるという不安があります。


この問題は、日本においての日本電電公社、国鉄、専売公社、郵政民営化に関する問題を彷彿とさせます。中でも、最近問題となっている郵政3社のうちの1社であるかんぽ生命保険の問題を考えるとき、何でも民営化すればいいというものではないという思いが強くなります。


私は自由主義者なので、経済活動は自由にやらせた方が効率がよく、アダムスミスのいう神の手によって自然と最も効率のいい状態になるという説を信奉しており、国家独占資本主義には拒否反応がありますが、公共財については国が関与したほうが、比較の問題としていい結果が得られるという面があることを否定するものではありません。


マレーシアの民営化についての記事をかいつまんで紹介します。記事の原文は次のURLを参照してください。https://www.thesundaily.my/local/khazanah-govt-has-been-engaging-with-plus-shareholders-CF1896141



Quote


“カザナ社:政府はPLUSの株主とずっと協力してきた”


政府の資産運用会社であるカザナ社はPLUSの売却について、「政府は高速道路運営会社の株主と、高速道路料金の利用者負担を軽減するため、PLUSの株主と今まで協力してきた。カザナはPLUS売却提案についてのアドバイスや見解をについて、政府の補償圧力を軽減し、現存の債務と株主の、高速道路運営者の企業価値を尊重しながら、政府に述べてきた。政府はこの問題について完全に専門的であり、この問題解決のための最適な問題解決に打ち勝つ適切な統治を支持してきたということをカザナは今一度強調したい。カザナはPLUSの引継ぎについての未承認の提案は知ってはいるが、関係した当事者は直接的には協力関係にはなかった。」


カザナは子会社であるUEMグループを通してPLUSの51%を保有して、残りの49%はEPFが所有しています。


報告されたところによると、財務相は閣議でPLUSとクランバレーの4本の高速道路を運営するGAMUDAの売却提案を決定するとのことです。



Unquote


国が経営すると、非効率になり、経済にとってはマイナスであることは一般論としては正しいのですが、非効率にはなっても、国が管理したほうがベターな場合があります。公共財の一部がまさにそうで、公共財の民営化にあたっては慎重な検討が必要です。


日本の場合を見るに、郵政の民営化がまさにそうで、郵便事業を、利益を最優先する民間会社が運営するようになって、例えばはがきの販売を宣伝するなどの弊害が出ています。郵便の無理な需要を創出する必要などどこにもないはずなのに、郵便事業から利益を捻りだすための活動が行われており、この行動は国民経済的視点でいえば、無駄であり、なくすべき行動です。

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